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迷惑

 「迷惑をかけるな」 「はた迷惑な話だ」
 などといって使われる「迷惑」は、「わずらわしく、いやな目にあう」ことを指す。

 受けた被害が、それほど大袈裟に騒ぎたてるほどのことでもないが、そのまま放っておくにはシャクにさわる。その程度の精神的苦痛を受けて、抗議してやろうか、それとも我慢しておこうか、とあれこれ思いわずらい迷い悩む、そのような状態をいう。

 この言葉はもともと仏教からきたもので、仏の教えが理解できず「思い迷い」「惑=とまどう」状態を「迷惑する」といった。
 つまり、物の道理がわからず、自分自身が迷い惑うありさまを意味した。
 それがいつのまにか、自分が「迷惑」であったために引き起こした行動(結果)のこととなり、さらに自分の心・行動を示すのではなく、他人への加害を意味し、しかも被害者が主に使う言葉となった。

 日本語では、主語が略され、蔭に隠されることが多い。
 特に「古文」を読むときには苦労する。直接「名指し」をするのは「言霊」による祟があるとされた名残である。
 主客転倒は珍しい現象ではない。
 
 だが、悟りが開けず生きていること自体が「迷惑」なのだから、「迷惑をかけない」で生きてゆくことは難しい。 
 
 
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